固定資産評価基準 第3章 償却資産¶
条文・通達の概要¶
- 対象条文: 固定資産評価基準 第3章(第1節〜第2節)
- 法令区分: 評価基準
- 趣旨: 償却資産の評価方法を定める。取得価額を基礎に、耐用年数に応じた減価を行って評価額を算出する
現行規定の施行日はフロントマターの
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現行規定の要点¶
総則(第1節)¶
償却資産の定義と範囲¶
- 定義: 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(地方税法第341条第4号)
- 対象: 構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具・器具・備品
- 除外されるもの:
- 自動車税・軽自動車税の課税対象となる車両
- 無形固定資産(特許権、ソフトウェア等)
- 繰延資産
- 取得価額10万円未満で即時損金算入した少額資産(税務会計上の処理による)
- 取得価額20万円未満の一括償却資産(3年均等償却を選択したもの)
評価の基本方式¶
土地・家屋と異なり、償却資産は毎年度評価を行う(基準年度の評価替え制度の対象外)。
評価の方法(第2節)¶
評価額の算出¶
償却資産の評価額は、取得価額を基礎とし、取得後の経過年数に応じた減価を行って求める。
前年中に取得した資産(初年度)¶
$$ \text{評価額} = \text{取得価額} \times (1 - \frac{r}{2}) $$
- 半年償却(取得時期にかかわらず、半年分の減価を行う)
前年前に取得した資産(2年目以降)¶
$$ \text{評価額} = \text{前年度評価額} \times (1 - r) $$
- $r$ = 減価率(耐用年数に応じて定められた率)
最低限度額¶
$$ \text{評価額の最低限度} = \text{取得価額} \times 0.05 $$
- 算出した評価額が取得価額の5%を下回る場合は、取得価額の5%を評価額とする
- 資産が存在する限り、評価額がゼロになることはない
評価の流れ¶
flowchart TD
A[取得価額の確認] --> B{取得時期}
B -->|前年中取得| C["取得価額 × (1 - r/2)"]
B -->|前年前取得| D["前年度評価額 × (1 - r)"]
C --> E{算出額 < 取得価額 × 5%?}
D --> E
E -->|Yes| F["評価額 = 取得価額 × 5%"]
E -->|No| G[算出額を評価額とする]
F --> H[課税標準額の算出]
G --> H
H --> I{課税標準の特例あり?}
I -->|Yes| J["課税標準額 = 評価額 × 特例率"]
I -->|No| K["課税標準額 = 評価額"]
J --> L[税額計算]
K --> L
減価残存率表¶
評価基準の別表(第15表)に、耐用年数ごとの減価残存率が定められている。
| 耐用年数 | 減価率(r) | 減価残存率(1-r) | 前年中取得の減価残存率(1-r/2) |
|---|---|---|---|
| 2年 | 0.684 | 0.316 | 0.658 |
| 3年 | 0.536 | 0.464 | 0.732 |
| 4年 | 0.438 | 0.562 | 0.781 |
| 5年 | 0.369 | 0.631 | 0.815 |
| 6年 | 0.319 | 0.681 | 0.840 |
| 7年 | 0.280 | 0.720 | 0.860 |
| 8年 | 0.250 | 0.750 | 0.875 |
| 10年 | 0.206 | 0.794 | 0.897 |
| 15年 | 0.142 | 0.858 | 0.929 |
| 20年 | 0.109 | 0.891 | 0.945 |
- 減価率は旧定率法の償却率と同じ値
- 耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(耐用年数省令)に準拠
取得価額の算定¶
| 取得形態 | 取得価額 |
|---|---|
| 購入 | 購入代価 + 引取運賃 + 荷役費 + 運送保険料 + 購入手数料 + 関税等 + 据付費 |
| 自己建設・製作 | 材料費 + 労務費 + 経費(利子を除く) |
| 贈与・交換 | 贈与時・交換時の適正な時価 |
| 無償取得 | 取得時の再取得価額 |
- 消費税の取扱い: 税務会計上の経理方式(税込・税抜)に合わせる
- 圧縮記帳: 国庫補助金等による圧縮記帳は固定資産税では認められない(圧縮前の取得価額で評価)
耐用年数の適用¶
- 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(耐用年数省令)に定められた法定耐用年数を使用
- 国税(法人税・所得税)で認められる耐用年数の短縮は、固定資産税では原則として適用されない
- 中古資産の見積耐用年数(国税の取扱い)も、固定資産税では法定耐用年数を適用する
大規模償却資産の評価¶
- 2以上の市町村にわたって所在する一定の償却資産(鉄道、発電所、送配電設備等)
- 総務大臣又は都道府県知事が全体の価格を決定し、関係市町村に配分(地方税法第389条・第740条)
- 評価方法は同じだが、価格の決定・配分の手続きが異なる
課税標準の特例¶
一定の償却資産には課税標準の特例が適用される(地方税法第349条の3等)。
| 対象資産の例 | 特例率 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 汚水又は廃液処理施設 | 1/3 | 法349条の3第2項 |
| 下水道除害施設 | 4/5 | 法349条の3第3項 |
| 再生可能エネルギー発電設備(太陽光等) | 設備種類による | 法附則第15条 |
| 中小企業等経営強化法の認定設備 | 年度による | 法附則第15条 |
- 特例率は年度改正により変動するため、最新の法令を確認する必要がある
- 適用には申告書への記載と関連書類の添付が必要
解釈メモ¶
- 償却資産の評価は申告に基づくため、申告内容の正確性が評価額に直結する。未申告・過少申告への対応(実地調査・質問検査)が重要
- 国税と固定資産税で取扱いが異なる点に注意:
- 圧縮記帳: 国税では認められるが、固定資産税では圧縮前の取得価額で評価
- 耐用年数の短縮: 国税で認められても固定資産税では原則として法定耐用年数を適用
- 特別償却・即時償却: 国税の特別償却は固定資産税の評価に影響しない
- 少額資産の取扱い: 損金算入の方法(即時・一括・通常)により申告要否が異なる
- 減価残存率は旧定率法の償却率に基づいているため、国税が定額法を採用している場合でも固定資産税は定率法的な減価を行う
- 取得価額の5%が最低限度額となるため、非常に古い資産でも取得価額に応じた課税が続く
実務への影響¶
- 申告受付・審査: 毎年1月31日期限の申告書の受付と内容審査が年間の主要業務
- 評価額の算出: 申告に基づき毎年度の評価額を算出(システムによる自動計算が一般的)
- 国税との突合: 法人税の減価償却資産明細との照合による申告漏れの把握
- 実地調査: 申告内容の確認、未申告資産の発見のための現地調査
- 関連業務: 申告受付から課税台帳登録までのフローは
docs/levy/001-depreciable-declaration-flow.mdを参照
改正履歴¶
新しい改正を上に追記する(降順)。
制定(施行日: 1963-12-25)¶
- 制定法令・通達番号: 昭和38年自治省告示第158号
- 制定の趣旨: 償却資産の評価に関する全国統一基準の整備
出典・参考¶
- 固定資産評価基準 第3章(償却資産)
- 固定資産評価基準 別表第15(減価残存率表)
- 地方税法 第341条第4号(償却資産の定義)
- 地方税法 第349条の3(課税標準の特例)
- 地方税法 第383条(償却資産の申告)
- 地方税法 第389条(大規模償却資産の評価)
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令
- 総務省「固定資産税務提要」