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固定資産評価基準 第2章 家屋

条文・通達の概要

  • 対象条文: 固定資産評価基準 第2章(第1節〜第4節)
  • 法令区分: 評価基準
  • 趣旨: 家屋の評価方法を定める。再建築費方式により、評価対象家屋と同一のものを新築した場合の建築費を基礎とし、経年減点補正等を行って評価額を算出する

現行規定の施行日はフロントマターの effective_date で管理する。

現行規定の要点

総則(第1節)

評価の基本方式 — 再建築費方式

家屋の評価は再建築費方式による。これは、評価対象の家屋と同一のものを、評価時点においてその場所に新築するとした場合に必要とされる建築費(再建築費)を基礎として評価額を求める方式である。

評価額の算出式

$$ \text{評価額} = \text{再建築費評点数} \times \text{経年減点補正率} \times \text{評点一点当たりの価額} $$

flowchart TD
    A[部分別の評点付設] --> B[再建築費評点数の算出]
    B --> C["× 経年減点補正率"]
    C --> D["× 需給事情による減点補正率(必要な場合)"]
    D --> E["× 評点一点当たりの価額"]
    E --> F[評価額]

評点一点当たりの価額

$$ \text{評点一点当たりの価額} = 1\text{円} \times \text{物価水準による補正率} \times \text{設計管理費等による補正率} $$

  • 物価水準による補正率: 東京都(特別区)を1.00として、各地域の建築費水準の差を反映
  • 設計管理費等による補正率: 再建築費評点基準表に含まれない設計監理費・一般管理費等を補正(通常1.05〜1.10程度)

木造家屋の評価(第2節)

評価の手順

  1. 屋根、外壁、柱・壁体、基礎、床、天井、建具、建築設備、仮設工事、その他工事等の部分別に区分
  2. 各部分について再建築費評点基準表から該当する評点数を付設
  3. 各部分の評点数を合計して再建築費評点数を算出
  4. 経年減点補正率等を適用して評価額を求める

木造家屋の部分別区分

部分 内容例
屋根 瓦葺、スレート葺、金属板葺等
外壁 モルタル塗、サイディング、板張等
柱・壁体 木造軸組、枠組壁工法(2×4)等
基礎 布基礎、べた基礎等
フローリング、畳、タイル等
天井 プラスターボード、木板等
建具 木製建具、アルミサッシ等
建築設備 電気設備、給排水設備、衛生設備等
仮設工事 足場、養生等
その他工事 基礎工事の一部、雑工事等

木造家屋の経年減点補正率

  • 構造・用途に応じて定められた経年減点補正率表を適用
  • 経過年数に応じて逓減するが、最低値は0.20(残価率20%)
  • 木造家屋の耐用年数は構造・用途により異なる(専用住宅で概ね22〜25年程度で最低に到達)

非木造家屋の評価(第3節)

木造家屋との違い

  • 再建築費方式の基本的な考え方は同じだが、部分別区分がより細分化されている
  • 非木造家屋は構造が多様(鉄骨造、RC造、SRC造等)であり、それぞれに対応した再建築費評点基準表を使用

非木造家屋の部分別区分

部分 内容例
主体構造部 鉄骨、鉄筋コンクリート、基礎杭等
外周壁骨組 カーテンウォール、ALC版等
間仕切骨組 軽量鉄骨間仕切、コンクリートブロック等
外部仕上 タイル張、石張、塗装等
内部仕上(床) ビニル床タイル、カーペット等
内部仕上(壁) クロス張、塗装等
内部仕上(天井) 岩綿吸音板、プラスターボード等
建具 アルミサッシ、スチールドア等
建築設備 電気、給排水、空調、エレベーター等
仮設工事 足場、養生、揚重等
その他工事 雑工事等

非木造家屋の経年減点補正率

  • 非木造は木造に比べ耐用年数が長い(RC造事務所で概ね50年程度で最低に到達)
  • 最低値は木造と同じく0.20(残価率20%)
  • 構造別・用途別に細かく分類された補正率表を使用

新増築家屋と在来分家屋

新増築家屋の評価

  • 基準年度の前年1月2日〜当年1月1日に新築・増築された家屋
  • 実地調査により部分別に評点を付設し、再建築費評点数を算出
  • 経年減点補正率は新築時点からの経過年数に応じて適用

在来分家屋の評価替え

  • 基準年度の賦課期日時点で既に存在する家屋
  • 評価替え年度における再建築費評点数の算出方法:

$$ \text{評価替え後の再建築費評点数} = \text{前基準年度の再建築費評点数} \times \text{再建築費評点補正率} $$

  • 再建築費評点補正率: 基準年度間の建築費の変動を反映する率(総務省が基準年度ごとに定める)
  • 在来分家屋の評価額が前年度を超える場合は、前年度の評価額に据え置く(据置措置)

在来分家屋の据置措置

flowchart TD
    A[在来分家屋の評価替え計算] --> B{新評価額 > 前年度評価額?}
    B -->|Yes| C[前年度評価額に据置]
    B -->|No| D[新評価額を適用]
    C --> E[課税台帳に登録]
    D --> E
  • 建築費の上昇等により評価替え後の再建築費が増加しても、既存家屋の評価額は上がらない
  • これは地方税法第349条第2項第2号の規定に基づく

需給事情による減点補正

  • 損耗の程度が経年減点補正率による減価を超える場合(通常の維持管理がなされていない等)
  • 建物の需給事情(市場性の減退等)を反映する必要がある場合
  • 市町村長の判断で適用できるが、適用基準を明確にしておく必要がある

解釈メモ

  • 再建築費方式は「いくらで建てられるか」を基礎としているため、築年数が古い家屋でも最低20%の残価率が残る。市場価格(取引価格)がゼロに近い家屋でも評価額はゼロにならない
  • 建築設備(電気・給排水・空調等)は家屋と一体として評価する。ただし、家屋から独立して償却資産として評価すべきものとの区分が実務上の論点となる(いわゆる「家屋・償却資産の区分」問題)
  • 非木造家屋の部分別評価は専門性が高く、建築図面の読解力が求められる。大規模な家屋では評価に相当の時間を要する
  • マンション等の区分所有家屋は、棟全体を評価した上で専有面積の割合等により各区分所有者に按分する

実務への影響

  • 新増築家屋の調査: 登記所からの通知や建築確認情報に基づき、実地調査・評価を行う
  • 評価替え年度の作業: 在来分家屋の再建築費評点補正率の適用、経年減点補正率の更新
  • 家屋・償却資産の区分: 建築設備の区分判断は課税漏れ・二重課税を防ぐ上で重要
  • 関連セクション: 家屋評価の詳細は docs/valuation/building/ に記載

改正履歴

新しい改正を上に追記する(降順)。

令和6基準年度改正(施行日: 2024-01-01)

  • 改正法令: 令和5年総務省告示第319号
  • 主な改正内容:
  • 再建築費評点基準表の改正(建築資材費・労務費の変動反映)
  • 再建築費評点補正率の設定(木造1.11、非木造は構造別に設定)
  • 経年減点補正率の一部見直し
  • 経過措置: 在来分家屋の据置措置(前年度評価額超の場合は据置)

制定(施行日: 1963-12-25)

  • 制定法令・通達番号: 昭和38年自治省告示第158号
  • 制定の趣旨: 家屋の評価に関する全国統一基準の整備

出典・参考

  • 固定資産評価基準 第2章(家屋)
  • 地方税法 第349条第2項(家屋に対する固定資産税の課税標準の特例)
  • 地方税法 第388条第1項(固定資産評価基準)
  • 総務省「固定資産税務提要」
  • 総務省「家屋評価についてのQ&A」