固定資産評価基準 第1章 土地¶
条文・通達の概要¶
- 対象条文: 固定資産評価基準 第1章(第1節〜第12節)
- 法令区分: 評価基準
- 趣旨: 土地の地目別の評価方法を定める。宅地については路線価方式または標準地比準方式により、その他の地目は標準地比準方式により評価する
現行規定の施行日はフロントマターの
effective_dateで管理する。
現行規定の要点¶
総則(第1節)¶
地目の認定¶
- 土地の評価は現況地目により行う(登記地目ではない)
- 地目の区分: 田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地
- 一筆の土地が二以上の地目に該当する場合は、主たる地目により評価する(ただし利用状況により画地を分ける場合あり)
評価の基本的な流れ¶
flowchart TD
A[現況地目の認定] --> B{地目の種類}
B -->|宅地| C[宅地の評価]
B -->|田・畑| D[農地の評価]
B -->|山林・原野等| E[その他地目の評価]
C --> F{所在地域}
F -->|市街地的形態| G[路線価方式]
F -->|その他| H[標準地比準方式]
D --> I{農地の区分}
I -->|一般農地| J[標準地比準方式]
I -->|市街化区域農地| K[宅地並み評価の考慮]
E --> L[標準地比準方式]
G --> M[画地計算法による各筆評価]
H --> M
J --> M
K --> M
L --> M
M --> N[評価額の決定]
宅地の評価(第3節 第12節を含む)¶
宅地の評価方法は、地域の形態に応じて2つの方式がある。
路線価方式(市街地宅地評価法)¶
主として市街地的形態を形成する地域に適用する。
- 用途地区の区分: 商業地区、住宅地区、工業地区等に区分
- 状況類似地域の区分: 用途地区内をさらに街路条件・地域条件が類似する地域に区分
- 標準宅地の選定: 主要な街路に沿接する標準的な宅地を選定
- 適正な時価の評定: 標準宅地について不動産鑑定士等による鑑定評価を実施
- 路線価の付設: 街路ごとに、沿接する標準的な宅地の1㎡当たりの価格を付設
- 画地計算法の適用: 各画地(評価単位)について、正面路線価に各種補正率を適用して評点数を算出
画地計算法の補正項目¶
| 補正項目 | 内容 | 適用場面 |
|---|---|---|
| 奥行価格補正 | 奥行距離に応じた補正 | すべての画地 |
| 側方路線影響加算 | 角地・準角地の加算 | 二方以上の路線に接する場合 |
| 二方路線影響加算 | 裏面道路の加算 | 裏面にも路線がある場合 |
| 間口狭小補正 | 間口が狭い場合の減額 | 間口距離が一定以下 |
| 奥行長大補正 | 奥行/間口比が大きい場合の減額 | 奥行が間口に比して著しく長い |
| 不整形地補正 | 不整形な形状の減額 | 蔭地割合に基づく |
| 無道路地補正 | 道路に接しない土地の減額 | 無道路地 |
| がけ地補正 | 傾斜地を含む場合の減額 | がけ地を含む画地 |
画地計算法の計算イメージ¶
flowchart LR
A[正面路線価] --> B["× 奥行価格補正率"]
B --> C["+ 側方路線影響加算額"]
C --> D["+ 二方路線影響加算額"]
D --> E["× 不整形地補正率等"]
E --> F["× 地積(㎡)"]
F --> G[各画地の評点数]
G --> H["× 評点一点当たりの価額"]
H --> I[評価額]
標準地比準方式(その他の宅地評価法)¶
市街地的形態を形成する地域以外の地域に適用する。
- 状況類似地区の区分: 地理的条件等が類似する地区に区分
- 標準宅地の選定: 各地区から標準的な宅地を選定
- 標準宅地の評価: 不動産鑑定士等の鑑定評価を基礎に適正な時価を評定
- 各筆の評価: 標準宅地の評価額に比準して各筆の評価額を算出
宅地の評価における「7割評価」¶
- 平成6年度評価替え以降、宅地の評価額は地価公示価格等の7割を目途に均衡化
- 標準宅地の鑑定評価を基に、地価公示価格の7割程度に調整して路線価等を付設する
田・畑の評価(第2節・第3節)¶
評価方法¶
- 一般農地: 標準地比準方式(農地としての売買実例価額等を基礎)
- 市街化区域農地: 状況が類似する宅地の評価額を基に、造成費相当額を控除して求める(宅地並み評価)
- 特定市街化区域農地: 宅地並み評価・宅地並み課税
農地評価の流れ¶
- 状況類似地区の区分
- 標準田(標準畑)の選定
- 標準田(標準畑)の適正な時価の評定
- 各筆の比準評価
山林の評価(第7節)¶
- 標準地比準方式により評価
- 状況類似地区の区分 → 標準山林の選定 → 各筆の比準評価
- 市街地近郊の山林は宅地に比準した評価が適用される場合がある
雑種地の評価(第10節)¶
- 原則として、その雑種地の現況に応じ、付近の土地の評価額に比準して評価する
- ゴルフ場用地、鉄道用地、その他の雑種地に区分
- ゴルフ場用地はゴルフ場の用に供する土地として一体評価する
その他の地目¶
| 地目 | 評価方法 | 備考 |
|---|---|---|
| 鉱泉地(第5節) | 売買実例価額等を基礎 | 温泉地等 |
| 池沼(第6節) | 売買実例価額等を基礎に比準評価 | |
| 牧場(第8節) | 標準地比準方式 | |
| 原野(第9節) | 標準地比準方式 |
地目の変換に伴う評価¶
- 地目が変更された土地は、変更後の地目により評価する
- 宅地への転用が見込まれる農地等は、宅地としての評価額から造成費等を控除して評価する場合がある
解釈メモ¶
- 路線価方式と標準地比準方式のどちらを適用するかは、地域の形態(市街地的形態か否か)により市町村が判断する。明確な数値基準はなく、都市計画の用途地域指定等も参考となる
- 「7割評価」は法令上の明文規定ではなく、自治事務次官通達(平成4年1月22日)に基づく運用方針。ただし評価基準の運用として定着している
- 画地計算法の各補正率表は評価基準の別表として定められており、市町村が独自の補正率を用いることはできない。ただし所要の補正(評価基準に明記された範囲での調整)は認められている
- 農地の宅地並み評価において、造成費の算定方法は都道府県知事が定める基準に基づく
実務への影響¶
- 評価替え年度の作業: 標準宅地の鑑定評価の委託、路線価の見直し、地価動向の分析が必要
- 日常業務: 地目変更・分筆・合筆等に伴う評価の修正
- 審査申出対応: 画地認定(評価単位の取り方)と補正率の適用が争点となることが多い
- 関連セクション: 土地評価の詳細は
docs/valuation/land/に記載
改正履歴¶
新しい改正を上に追記する(降順)。
令和6基準年度改正(施行日: 2024-01-01)¶
- 改正法令: 令和5年総務省告示第319号
- 主な改正内容: 基準年度に伴う路線価・標準宅地価格の見直し対応
平成6年度評価替え改正(施行日: 1994-01-01)¶
- 改正の趣旨: 宅地の評価額を地価公示価格等の7割を目途に均衡化
- 経過措置: 負担調整措置の導入(現在も継続)
制定(施行日: 1963-12-25)¶
- 制定法令・通達番号: 昭和38年自治省告示第158号
- 制定の趣旨: 土地の評価に関する全国統一基準の整備
出典・参考¶
- 固定資産評価基準 第1章(土地)
- 地方税法 第341条第5号〜第9号(用語の定義)
- 地方税法 第349条(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)
- 地方税法 第388条第1項(固定資産評価基準)
- 自治事務次官通達(平成4年1月22日)「固定資産の評価替えに伴う土地評価の取扱いについて」
- 総務省「固定資産税務提要」